ズンジ(Zsinj)は惑星フォンドア出身の人間の男性で、銀河帝国の分裂派閥を率いた大将軍。フォンドアの造船所で整備士をしていた父親の伝統に従ってファーストネームを持たなかったズンジだが、高名な母マリサ・ズンジの足跡をたどって軍人になった。マリサは共和国辺境領域保安軍に仕えたシャンドリアンの提督で、“スペースレーンのエース”という別名で有名だった。ズンジはクローン戦争が終結して帝国が誕生するまでのあいだ母親のもとに仕えていた。マリサは廃船予定のヴェネター級スター・デストロイヤー<リタリエーション>を港へ返還せよという命令を拒否し、新政府から非難を受けた。彼女は帝国から離反し、海賊となって帝国の船を略奪した。若きズンジはヴィクトリー級スター・デストロイヤー<アイアン・フィスト>の指揮権を与えられ、母親の討伐を命じられた。激しい戦いの末、マリサ・ズンジは実の息子に敗北して殺されることになった。ズンジは公式に初代帝国の軍司令官に任命され、ズンジの母の記録は帝国の歴史から抹消された。これ以降、ズンジは勝利に次ぐ勝利によって権力を拡大していった。ヤヴィンの戦いの直後、ズンジは提督に昇格し、皇帝パルパティーンから直々にエグゼクター級スター・ドレッドノート<ブロール>(のちに<アイアン・フィスト>と改名される)の指揮権を与えられた。ズンジはフォース=センシティブのナイトシスターの逃亡を阻止するため惑星ダソミアを隔離し、皇帝は帝国の潜在的脅威を押さえつけたズンジに個人的に感謝した。その後、ズンジはヴィクトリー級艦から成るクリムゾン・コマンド艦隊の高位提督になり、銀河系の北象限の大部分を占めるクエライ・オーバーセクターのグランドモフになった。エンドアの戦い以降、ズンジはこの地位を利用して独立した大将軍としての名声を確立する。 パルパティーンの死が銀河の大部分に知れ渡った後、ズンジは最も強力な帝国の大将軍として多くの人びとから評価されるようになった。ズンジはエンドア以降の混沌の中で帝国への忠誠を宣言し、公式な称号を利用して自らの正当性を主張した。彼の行為によって、「帝国の軍司令官」(Warlord of the Empire)という公式な称号は、崩壊した帝国から独立した司令官を意味する「大将軍」(Warlord)として一般化することになった。しかし、彼は帝国政府に忠誠を誓う一方で、セレノーに基地を建て、指揮下のオーバーセクターを閉鎖し、テリナルド・スクリードやニゲル・ナイヴァースといったライバルたちの戦力や領域を吸収していった。強大な艦隊を手にしたズンジは他の大将軍には類を見ない財政基盤を確立し、最盛期には既知銀河の3分の1を支配して新共和国と銀河帝国の双方と対立した。帝国情報部のイセイン・アイサード長官が失脚した後、ズンジは新共和国の軍事作戦の標的になり、討伐部隊を率いるハン・ソロ将軍はズンジの仇敵になった。ズンジの軍隊はソロの機動部隊と何度も交戦し、互いにわなを仕掛け合った。7 ABY、ズンジの<アイアン・フィスト>は帝国軍のテレン・ログリス提督と新共和国による連合艦隊やガーラ・ペトスィールのスパイ活動によって2度も破壊の危機にさらされた。ズンジは旗艦が破壊されたと見せかけてダソミアの秘密基地に逃げた。しかし、彼の基地はヘイパン宇宙軍による襲撃を受けた。戦闘中、ギャンブルでダソミアの所有者になっていたソロは、<ミレニアム・ファルコン>で<アイアン・フィスト>を攻撃した。ズンジは<ファルコン>がブリッジに向けて放った震盪ミサイルによって命を落とした。ズンジの帝国は崩壊し、司令官たちは他の大将軍や独自の勢力へと散らばったが、かつてのズンジに匹敵する独立勢力を持つ者はもはや存在しなかった。